2017/8/21

教育関連コラム
教育関連コラム

第02回 「腐ったみかん」

1980年頃放送された『3年B組金八先生』の中で使われた言葉だそうですが、箱の中に腐ったみかんが一つでもあると、他のみかんにも腐敗が広まることから、クラスの中に一人の不良少年がいると、クラス全体に与える悪影響が広まることを表した言葉だそうです。

現在の教育現場では、中学校、高校でそうした問題生徒がいると、「彼(彼女)が卒業していってくれるまでの辛抱」「何か問題を起して、学校からいなくなってくれれば」など、現実から目をそむけ、物事の本質を探り問題を解決しようとしない体質があるようです。

元教師の融和塾 代表 松井直人氏のお話によると、「問題の多い生徒がいなくなればすべてが解決すると思うのは大間違い。例えその問題児が居なくなっても、本質的な問題(つまり学校側の姿勢)を解決しない限り、次の問題児が必ず現れます」ということです。
松井氏によると、問題児に正面から向き合って、指導する側の大人が、彼(彼女)と一緒になって何か目標にチャレンジする行動をとれば、自然とそのような問題児はいなくなる、返ってその問題児一人を変えることによって、周りがすべて変わり始めるそうです。
 

一緒になってチャレンジする
一緒になってチャレンジする

 
私も以前、出前授業に行った中学校で、授業をボイコットして、教室の床に寝そべっている生徒さんに遭遇したことがあります。最初は「あの学校は問題児が多いらしいよ」と聞いていて、ビクビクしながらお邪魔したのを記憶しています。その子がどうしてそんな行動に出るのか、学校関係者や教員などから聞いたところ、具体的なことは言えませんが、大人に裏切られたこと、大人に敵対心を持っていることが原因だと教えてもらいました。その後、その子がどうなったかは分かりませんが、この事件を経験して、子供が健やかに成長していくためには、どうしても大人との信頼関係が必要不可欠であることを実感しました。

現代社会の人間関係は、昔に比べてとても複雑になり、近所の子にも気軽に挨拶できにくいですが、これからの将来を考えると、我々大人の側から子供たちと正面から向き合い、責任を持ってかかわっていく、社会や人間関係のルールに対してもしっかりと向き合って伝えていくことが、「腐ったみかん」を作らない最大の予防なのかもしれません。

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